クレイジー・農・ダイヤモンド。

大学とは不思議な場所だ。
私は大学に入ってから、異世界に紛れ込んでしまうことが度々ある。
昨日はそういった日だった。




卒業式。
21時頃、研究室での飲み会が終わった。
私は友達のYを探しに、他学科の棟の6階まで来ていた。
見つからない。
もうあまり人もいない、電気も点いてない。
私は1階に戻るべく、暗闇でエレベーターを待った。
エレベーターが来た。
ドアが開いた。


私は目を疑った。
エレベーター内に机と椅子がある。
そこに6、7人の男女が座り、酒を酌み交わしている。
暗闇に浮かぶ彼らは、いっそ幻想的だった。
そのなかで、眼鏡の男が私を見て、言った。



「どうぞ。」



私は、この超現実に躊躇いながらも中に入る。



「ビール、飲む?」



厄介なことに巻き込まれてしまった。
私は注がれたビールを飲む。
エレベーターは1階に着いた。
探していたYが乗ってきた。
彼は当たり前のように椅子に座り、酒を注ぐ。
どうやら、Yは少し前にこのエレベーター居酒屋の客となっていたらしい。


そうして私とYは、この奇妙な集団と共に、昇降するエレベーター居酒屋にて小一時間ほど宴をした。
私のように偶然乗ってきた人を巻き込み、目まぐるしく人が入れ替わった。
夢か現かよくわからない、文字どおり浮遊感漂う時間だった。




彼らはひたすら自由だった。
彼らはいつでも斬新だった。
彼らはもれなく馬鹿だった。

名も知らぬ、ぶっ飛んでる彼らへ大音声にて叫びたい。




先輩、ご卒業おめでとうございます。