人間讃歌は勇気の讃歌。

2008年2月のロサンゼルス旅行の話の続きをしよう


エピソード?。


飛行機に乗り込み約12時間、
私と高校時代の友人Nはアメリカの大地を踏んだ。
旅立つ前には「はじめの一歩」をやたら意識していた我々は、感動の少なさに多少残念な気持ちを感じていた。
入国審査を済ませ、旅行会社のバスに乗り込み、乾燥した埃っぽい空気のだだっ広いハイウェイを荒々しく走る。
自由の国に交通法規はないに等しい。
少し向こうに摩天楼が見える。
我々の泊まるホテルはあそこにある。



「シャック(私の名称の一)。」
「うん?」
「来たな」
「うん」
「…」
「…」



会話も盛り上がってきたところで、イヤホンを耳に着ける。
頬杖を突きながら薄目で窓の外を見据え、バスの中で私はひとつの夢を叶えることに成功する。
それはレッチリのダニーカルフォルニアを聴くこと。
再生、なんだろうこの不良感。
モヒカンになってハーレーで走っている妄想で悦に入っているうちにホテルに着く。



一緒のバスに乗ってきた日本人観光客はチェックインをしている。
順番を待っている我々は、ロビーでとんでもなくお洒落で可愛い娘を発見する。


「シャック!」
「うん?」
「あの娘可愛いな」
「うん」
カエラちゃんと命名しよう」
「そうしよう」
「そうしよう」



私はちらとNの顔を見た。
彼の眼鏡の奥深く、一気に獣色の動物電気を帯びだしたのを私は見逃さなかった。
彼女は文字通り、彼のお眼鏡に適ったのだ。



どうなる、カエラちゃん。
待て、次回。