君に幸あれ。

2008年2月のロサンゼルス旅行の話の続きをしよう。


エピソード2。



我々はフロントでカードキーを手にして、エレベーターで目的の階へ向かう。
ほの暗いエレベーターの中、途中で清掃員らしき大柄な女性が乗ってきた。


「暗くて怖いねェー、ブバブーッ!」


みたいなことを彼女は言った。
僕は少し困ったような顔で、そうだね、ここは少し暗すぎる。日本じゃこんなことはあり得ないよ、ハハ…といった意味の内容を、イェアという一言に込めて発した。
彼女は満足そうにその巨体を揺らした。
後に友人Nが彼女をママと命名するが、彼女と会うのはこれが最初で最後となる。
エレベーターが目的の階に達したのでママに別れを告げ、部屋に着く。
荷物を降ろし、しばし休憩した後、我々は街へ繰り出すことにした。


しばらくホテル近辺を散歩してみたが、なんてことはなかった。
スラム街のようなところに迷い込んで、完全にブルっちまっただけだった。
そんな時、我々は完黙する。
無言で汗を掻く…それが回れ右の合図。
マックでクォーターパウンダーを買って、急いでホテルに帰った。


部屋に戻り、ベッドに横になりながら少しションボリしていた。
するとNがバッと飛び起き、壁に耳をあてはじめた。


「隣の部屋、女の子だ!」


僕らはぎゃあぎゃあとベッドを飛び跳ねて騒ぎながら下品に笑った。
少し元気になった。
そんなものだ。



続く。